「死なないご祈祷」

良寛さんの処へ、80歳前後のお婆さんが長寿のご祈祷を頼みにやってきました。

「何歳まで生きたいですかな ?」老人は一瞬言葉に詰まったが、とりあえず「百歳まで」と答えました。

そこで良寛さん、「私の祈祷は良く効くから百歳と言えば、百歳の大晦日には、きっと貴女の命は亡くなるがそれでよろしいかな。」

そう言われると、老人はもう少しながいきしたいと思いなおし、「いや百五十歳まで」と言いました。

「よろしい。それでは祈祷するが貴女はすでに八十歳。百五十といってもあと七十年。下り坂は早いと言うから、じき百五十歳になる。その百五十歳を迎えて、いよいよ明日は正月という大晦日、子や孫が集まり、祝いの準備をしているとき貴女は死んでしまわなければならないがそれでもよろしいな。」

そう言われるともっと長生きしたい。「それでは 三百歳まで生きていたい。」

「よいか、三百歳といっても、その歳になればやはり死ぬ。それよりいっそ死なない祈祷をしたらどうじゃ。」

「しなないご祈祷があるなら、少々お高くても、ぜひそれをお頼み申します。」

 良寛さんの逸話にこんな話がありました。どういう風に感じましたか ? 

良寛さんの勧めた死なない祈祷とは一体どの様なものでしょう。